きさげ加工 の基準である 定盤の修正方法を公開!『3枚摺合わせ』とは?
今日は “ きさげ加工 ” をやる上で、
絶対に必要になる “ 定盤 ” についての話です。
『定盤』とは『鋳鉄』という金属でできた、
超高精度な平面を持つ板の事です。
平面度は『μ(マイクロ)』単位。
高精度なため、『温度』『使用状況』『保存方法』などでヒズミを起こす事もあります。
取り扱いには十分注意する。
一般的な『きさげ加工』を行う上で、
『定盤』の精度を『きさげ面』へ移すと思ってもらって良いと思います。
『きさげ加工』で『定盤』に部品を摺り合わしていると、
段々『定盤』が減ってきます。
そうすると修正する必要がありますよね!
その辺の事もふくめて『定盤』のお話しをしたいと思います。
定盤とは?
『定盤』とは、鋳鉄でできた超高精度な平面度(マイクロ単位)をもつ板の事です。
その平面度を『きさげ加工』で重要部品へ移される。
この事から全ての基準だと言えるものです。
形や大きさも様々で、
大きい物から手のひらサイズの小さい物まであり、
形も正方形の物もあれば、長方形の物もある。
使用状況に応じて様々な「大きさ」「形」の物があります。
定盤の保存方法について
高精度な平面度を誇る『定盤』なだけに、
適当に保存すると、高精度な平面度を保つ事が出来ません。
『湿度』『温度』を最適に管理するのはもちろんの事、
『定盤を置いておく台』についても、
『高精度な水準器』でレベル出しした台の上に置いておく。
そうしないとヒズミが出て平面度を保てない可能性があります。
『定盤』修正に必要な『3枚摺合わせ』とは?
非常にデリケートな『定盤』ですが、
『きさげ加工』などで使用していると、段々減ってきて修正が必要になります。
そんな高精度な平面!いったいどうやって修正するのでしょうか?
実はこれも『きさげ加工』で修正するんです!
『3枚摺合わせ』という技法を使います。
※『3枚摺り合わせ』とは、『定盤』を3枚用意し、(同じ大きさ・形の定盤が良い)
その3枚の『定盤』を交互に摺り合わせていく。
そうすると、基準面がなくてもほぼ均一な平面に仕上げる事ができる。
『3枚摺り合わせ』のやり方
- まず『定盤』を3枚用意します。(同じ大きさ・形の定盤が良い)
- 3枚の『定盤』に『A』『B』『C』と番号をつけます。
- 交互に摺り合わせていく
■【摺り合わせる順番】
- 1回目『A』⇨『B』
- 2回目『A』⇨『C』
- 3回目『B』⇨『C』
- 4回目『B』⇨『A』
- 5回目『C』⇨『A』
■【摺り合わせ例】
- 『A』を基準『定盤』にし、『B』と摺合わせて『B』の凹凸をきさげ加工
- 『A』を基準『定盤』にし、『C』と摺合わせて『C』の凹凸をきさげ加工
- 『B』を基準『定盤』にし、『C』と摺合わせて『C』の凹凸をきさげ加工
- 『B』を基準『定盤』にし、『A』と摺合わせて『A』の凹凸をきさげ加工
- 『C』を基準『定盤』にし、『A』と摺合わせて『A』の凹凸をきさげ加工
⑤まで終わったら、また最初に戻り『A~』という感じで、
3枚とも同じ強さのアタリがつくまで繰り返します。
[box class=”pink_box”]※上のやり方は①~⑤までありますが、
①~③まででもOKです。
- 1回目『A』⇨『B』
- 2回目『A』⇨『C』
- 3回目『B』⇨『C』
- そして『A~』という感じ
完成まじかになり凹凸も少なくなってくると、
自分の顔が映る位綺麗な面になります。
精度の良い物を『種定盤』として保管しておく
精度の良い物は『種定盤』として大切に保管しておきます。
そうする事により、他の2枚の『定盤』が減ってきて修正が必要だとしても、
『種定盤』を使用して修正を行えば、『3枚摺り合わせ』をやるより楽です!
最後に
話だけ聞いていると、
「交互に『きさげ加工』するだけだから簡単!」
なんて思ったあなた!
この『3枚摺合わせ』やばいくらい根気がいります!
集中してやっても完成まで数日かかる。
『3枚摺り合わせ』終盤なってくると、
削り取る料も『数μ(マイクロ)単位』になり、アタリも細かくなってくる。
一面削るだけでも半日以上かかります。
私の亡くなった師匠いわく、
「『3枚摺合わせ』が出来ないと『きさげ』はできない!」
と常に言っていました。
今は『研磨機』の機械精度も向上し、研磨加工するだけで
ほぼ均一な平面に仕上げる事が可能!
昔はそれほど加工精度も良くなかったので、
今以上の『きさげ技術』が重要視されていたという事ですね!