2017/03/05

工作機械製造に 絶対必要な『きさげ加工』

 
きさげ面の写真

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普段は『きさげ職人』として、工作機械重要箇所に手仕上げ加工を施す職人さん。
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ヒロ

あなたは『きさげ加工』という作業を聞いた事がありますか?

工作機械製造業など、金属関係の仕事についている方なら『きさげ』を知らない人はいないでしょう。

しかし、それ以外の方は知らない人も多いと思います。

 

『きさげ』とは、とても重労働で地味な作業ですが、

工作機械製造にはとても重要!欠かす事の出来ない作業です。

 

今日は『きさげ』とはどういった作業なのかをお話したいと思います。

 

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『きさげ加工』とはどういった作業か?

工作機械で部品を『平面』や『曲面』に加工し、綺麗に仕上げたとしても、

加工時に生じる『熱変動』(加工時の摩擦で生じる熱で物質が変化する)の影響等でヒズミや加工ムラが起きる。

そのため高精度な『平面』や『曲面』に仕上げる事は難しいです。

 

高い精度が要求される箇所については、これでは不十分。

そこで手仕上げによる『きさげ加工(摺り合わせとも言います)』が必要になってきます。

 

平面のきさげ加工『合わせ面のきさげ』

定盤にブリューペーストを塗る

■基準面となる面(部品を組み合わせる面)や『定盤』(上の写真)と呼ばれる平面度は(μ(マイクロ)単位)の基準面に、

顔料を薄く均一に塗る。(『ブリューペースト』等の青い顔料を塗る事が多い)

 

■『きさげ』を行う面(部品)には『光明丹』を同じく薄く均一に塗り、その二つを摺り合わせる。

 

すると凹凸の『高い所』『低い所』がうつる。(これを『アタリ』とも言います)

【下記写真参照】

凹凸がハッキリしている写真

 

当たりの当たっている所を『スクレーパー(工具自体を『きさげ』とも言う)』を使って削っていく。

きさげで削っている所の写真

これを何回も繰り返し、アタリを面に対して均一に広げていく。

 

下の写真を見てもらえれば分かる様に、同じ強さの当たりが均一に広がれば完成です。

きさげ面仕上がり前後の写真

一見簡単そうに見えますが、

ただ何も考えずに凹凸(アタリ)を削るだけでは、なかなか綺麗な平面にはなりません。

■凹凸(アタリ)の強い所は強く削る

■凹凸(アタリ)の弱い所は弱く削る

アタリの強さを一つ一つ見極めて、力加減を変えながら削っていきます。

 

そのためには技量も当然必要ですが、

アタリの強さを見極める『目利き』が必要になってきます。

そうした『目利き』を養うためには、長年の経験が必要になってくるわけですね!

 

そうして根気よく作業を続け、綺麗な平面に仕上げていきます。

ベテラン『きさげ職人』が作業をすると、

最終の仕上げ面は、顔が映る位の綺麗な面になります。

 

平面のきさげ加工『摺動面のきさげ』

摺動面(しゅうどうめん)とは、工作機械可動部面の事。

『ベース』という台の上を『スライド』という部品が、前後左右にスライドして動く面。

『ベース』と『スライド』が合わさる面の事を言います。

ターカイト摺動面の写真

摺動面に使用する素材として、

金属の他、『ターカイト(上の写真)』という物が使用されます。

 

油だまりについて

均一にアタリを付ける事はもちろんなのですが、

あまりにも凹凸が少ない面だと、潤滑油をためる所が少ないため不具合が出ます。

摩耗が早くなったり、焼き付きを起こしてしまい、

スライドの寿命を短くしてしまう原因にもなるのです。

 

そこで『油だまり』という、

潤滑油をためるポケットを意識して削る事が重要になってきます。

油だまりの写真

上の写真を見ると、『摺動面』にポコポコくぼみがある事が分かります。

これが『油だまり』です。

『摺動面』をきさげするにあたって、『油だまり』をしっかり掘る事がとても重要になってきます。

 

『摺動面』に関しては下記記事でも詳しくご紹介しているので、

⇩ 是非ご覧下さい ⇩

【きさげ加工が絶対必要な工作機械スライド部! 摺動面とは?】

 

曲面へのきさげ加工『割メタル』について

芯出しバーによる当たり付

『割メタル』とは、主に大型の『軸受け』に使用されるもので、

2分割出来る構造から『割メタル』と言います。

 

私が主に行っている『割メタルのきさげ』は、

スピンドルを受けるための『軸受け』に施す事が多いです。

※スピンドルとは『精密高精度』『摩耗が少ない』回転軸の事

 

基準バーとなる『心出し軸』を基準をして、

『曲面』へのきさげ加工、押え強さ(スピンドルを保持するための強さ)の調整などを行います。

当たっている所を削る

『ささっぱ』という工具を使用してきさげを行う事から

『ささばきさげ』とも言います。

 

『ささばきさげ』に関しては下記記事でも詳しくご紹介しているので、

⇩ 是非ご覧下さい ⇩

【工作機械でかなり重要!軸受面の『ささばきさげ』とは?】

 

きさげに使う工具

スクレーパー

スクレーパー

『スクレーパー』『シカラップ』、工具自体を『きさげ』とも言います。

 

平面へきさげ加工をする時に良く使われる工具で、

工具の先に『超硬合金(ちょうこうごうきん)』(硬度が非情に高い金属)の刃が取り付けられるようになっています。

超硬チップ

■【スクレーバーの使用例】

股関節の少し上辺りにスクレーパーの尻部を当て、真ん中ほどの所を両手で持ちます。

そして中腰状態になる。

 

股関節に当てた部分と、スクレーパーを持っている両手

この二点に同時に体重を掛け、きさげ面を削っていきます。

 

二点の力の掛け方が微妙に変わると、なかなか綺麗に削り取る事が出来ません。

 

ささっぱ

ささっぱ

『ささばきさげ』と言い、曲面を『きさげ』する時に使う工具です。

『ささっぱ』の先にはやはり、超硬合金の刃がついています。

ささっぱ2

■【ささっぱの使用例】

『ささっぱ』の尻部を片手で持ち、真ん中あたりをもう片方の手で持ちます。

そして腕の力だけで曲面を『きさげ』します。

 

光明丹

光明丹

『きさげ』を行う面に塗り、凹凸(アタリ)を見やすくするためや、

きさげ加工時の潤滑(滑りを良くする)の役目もします。

 

『光明丹』『グリス』『灯油』を練り合わせて使用します。

 

ブリューペースト

ブリューペースト

基準となる面に塗る顔料。

凹凸(アタリ)を見やすくするために使用します。

 

基準面に『ブリューペースト』を塗り、きさげ加工をする面に『光明丹』を塗って摺合わせる。

そうすると凹凸(アタリ)の強い所が青黒く当たります。

 

定盤

定盤

すべての基準となる平面の板で、平面度は1μ前後の高精度の物。

 

実は『定盤』も『3枚摺合わせ』という技法で作成する事が出来るんです!

定盤を3枚用意します。(同じ大きさ・形の定盤が良い)

そして3枚の定盤を交互に摺り合わせていく。

そうすると基準となる面が無くても、ほぼ均一な平面に仕上げる事ができます。

 

『定盤』の『3枚摺り合わせ』に関しては

下記記事で詳しくご紹介しています。

⇩       ⇩

【きさげ加工の基準である 定盤の修正方法を公開!『3枚摺合わせ』とは?】

 

最後に

今回は『きさげ』とはどういう作業なのか?

どういう工具を使うのか?

についてお話ししました。

 

『きさげ職人』も現在では少数となってきました。

凄く根気のいる作業で、肉体的にもキツク、

腰や身体にもかなりの負担がかかります。

 

しかし、

■誰にでも出来る作業ではないという事。

■工作機械重要箇所を仕上げる腕があるという事。

■少数になってしまった『きさげ職人』の一人であるという事。

その事を思うとやりがいのある仕事だし、

重要な作業をしているという自覚を持って、今後も業務にあたっていきたいと思います。

 

ものづくり業界の若い人達へ

今の時代、機械や作業ロボットによる自動化で、

『ものづくり業会』の雇用も厳しい時代になってきました。

 

その中でやっていこうと思うのならば、

自分は他の人が出来ない事が出来るなど、差別化をはかる必要があります。

 

『きさげ』を身に着けておくという事は、

この業界でやっていく人にとって、とても強いスキルになります!

雇用に関しても優位になる事は間違いありません。

 

工作機械製作にあたり『きさげ』が無くなる事はまずありません。

重要箇所はやはり人の手が必要です。

 

今回この記事を読んでいるあなたが、

『ものづくり業界』でやっていく若い方であるのならば、

積極的に『きさげ技術』を学ぶ事を強くおすすめします!

 

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